明日、あなたが目覚めたら



「……意外だね。
佐伯くんは、スポーツとかバリバリしてる感じがしない」


私がそう言うと、佐伯くんは首を傾げた。



「そう?
俺は、藤江さんの方が意外だったけど」


「……なにが?」


「無理してまで、体育するなんて」



そこで、「あぁ、そういえばそれで倒れたんだっけ」と思い出す。



「藤江さんって、一見クールな感じで運動とか興味なさそうだったからさ。
本当は、けっこう体育会系?なんて思ったり」



クスクスと目を細めて笑う佐伯くん。



私は、その言葉に少しムッとする。



「……私、佐伯くんと関わったことないのに」


「去年、文化委員一緒だったよ」


「え」



……知らなかった。


それでも、そんな風に見られてたなんて、不本意だ。


確かに帰宅部だけど……これでも、運動は大好きだし、得意。



「一応バスケやってたから」



淡々と答えると、佐伯くんは納得したような声をあげる。



「へぇ、それでか。
綺麗なフォームだなって思った」



綺麗な、フォーム……?

いつそんなの見たって言うんだろう。


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