明日、あなたが目覚めたら
そんな私の疑問を察したかのように、佐伯くんは言った。
「さっき。すごい綺麗だった」
それは、不意打ちの笑顔。
「……っ⁉」
それは、今までの “綺麗” という笑顔じゃなくて
可愛い、笑顔。
まるで、無邪気に笑う子どものようで。
その笑顔を見た瞬間。
胸がトクンッと跳ね、一気に血液が顔に集中した。
胸が、苦しい。
顔が、熱い。
……なんだろう、これ。
一瞬、その笑顔に魅入ってから、ハッとして真っ赤であろう頬を両手で覆った。
「あれ、どうかした?」
「な、なんもない……っ‼」
覗き込んできた彼から、慌てて視線を逸らす。
なっ……なにこれ⁉
意味わかんない! 心臓うるさいっ‼
「藤江さん」
「な、なに」
今まで立って話してくれていた佐伯くんは、カタンと音をたててベッドの横のイスに座った。
距離がぐんっと縮まって、私の心臓はもっと激しく暴れ出す。