明日、あなたが目覚めたら
だけど、佐伯くんは困るような仕草ひとつ見せず、ふんわり笑った。
「うん、見にきてよ」
トクンッ、胸が鳴る。
落ち着いたと思って、油断した。
いつの間にか、抑えるものがなくなっていた心臓は、再びドキドキと暴れ出していた。
「顔、赤いけど大丈夫……?
まだ、しんどい?」
「だ、大丈夫だから……っ‼」
私は、プイとそっぽを向く。
なんなの、今日は。
頭は痛いし、きっと熱もある。
胸は、うるさいし。
顔は、熱い。
「……ひゃっ⁉」
そんなことを思っていると、華奢な腕が伸びてきて、私の額にふわりと触れた。
な、なに……⁉
あまりにも予想外な展開に、混乱しているとガラリとドアが開いた。
すると、額にあった佐伯くんの手はあっさりと離れた。
入ってきたのは、保健の先生だった。
「あ、藤江さん起きたのね」
「え⁉ あ……は、はい。
ついさっき起きました」
さっきの状況がいったい何だったのか、いまだに理解できていない私は先生の言葉にハッとする。