明日、あなたが目覚めたら


「そう、よかった!
もう体調は大丈夫なの?」

「えっと、もう……」



“大丈夫です”

そう続けようとしたけれど、それは佐伯くんによって阻止された。



「まだ少し熱っぽいですよ、藤江さん」



……え?

私がきょとんとしていると、先生が「そうなの?」と私に聞く。



「え、いや……もう大丈夫だと思います」



答えると、横に座る佐伯くんは、少しだけムッとしたように言った。



「大丈夫じゃないでしょ。
さっき藤江さんの額に触れたら、まだ熱かったよ」


「あ……」



そこでやっと、さっきの状況が理解できた。


私の額に触れたあの佐伯くんの手のひら。

それは、私の体調を伺ってのものだったんだ。



「うーん……じゃあ、保護者の方に迎えに来てもらった方がいいかしら」



1人では帰れないわね、と先生が付け足す。

え……⁉
帰る、って……まさか?



「せ、先生! いま何時ですかっ⁉」


「もう4時半よ〜。
藤江さん、お昼からずっとぐっすりだったんだからー」



う、うそ……。
私、そんなに寝てたの⁉

もう学校終わってるじゃない!


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