明日、あなたが目覚めたら



「ひ、ひとりで帰れますんでっ!」



慌ててベッドから飛び降りる。

ずっと横になっていたから、少しだけクラッと目眩がした。



「え、だめよ!
帰っている途中で、また倒れてしまったりしたら、どうするの」


「でも、お母さんもお父さんも、仕事で迎えに来ることはできないので……」



すると、先生はうーんと唸る。

確かに、さっきまで気を失っていた人をひとりで帰らすのは危ないかもしれない……。



「じゃあ……担任の先生に送ってもらいましょうか。 田中先生よね?」


「えっ⁉」



そ、それは……かなり嫌だ。


先生に送ってもらうなんて気まずい、ということもあるけれど、

“田中先生に”

ということが、1番嫌だ。



「えっと……」



どうしようか。


まさか、先生の前で「田中先生は嫌です」なんて言えるわけがない。


いくらサバサバしていて思ったことはハッキリと言ってしまう、と友人から定評のある私でも、それはさすがに無理です!


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