明日、あなたが目覚めたら



よ、よかったかもしれない。
今のうちに落ち着こう……。



「…………」



少しすれば、すぐに戻ってくるだろうと思っていたけれど、佐伯くんはなかなか帰ってこない。


佐伯くんの靴は、まだ靴箱にある。

どうしたんだろ……。


こんなに待つ時間が長いと、逆に緊張してきてしまう。

やっぱり、もう少し保健室にいた方がよかったのかもしれない。



「藤江さんっ!」


「あ……佐伯くん」



私の目の前にある階段を、一気に駆け下りてくる佐伯くんの姿があった。



「ごめんっ!
ちょっと部活の先輩に捕まっちゃってさ……」



パンッと手を合わせて、頭を下げる佐伯くん。

その姿が、なんだかとても可愛いく見えた。



「や、あの……気にしないで」


「ほんと、ごめん!
送って行くとか、言ったくせに……」


「いや、私こそ……ごめんなさい。
今日、部活あったんじゃないの……?」



今日、6時間目が終わってからずっと私に着いてくれていた佐伯くん。


バスケ部の彼なら、今日は部活があったんじゃないだろうか。


< 28 / 166 >

この作品をシェア

pagetop