明日、あなたが目覚めたら
よ、よかったかもしれない。
今のうちに落ち着こう……。
「…………」
少しすれば、すぐに戻ってくるだろうと思っていたけれど、佐伯くんはなかなか帰ってこない。
佐伯くんの靴は、まだ靴箱にある。
どうしたんだろ……。
こんなに待つ時間が長いと、逆に緊張してきてしまう。
やっぱり、もう少し保健室にいた方がよかったのかもしれない。
「藤江さんっ!」
「あ……佐伯くん」
私の目の前にある階段を、一気に駆け下りてくる佐伯くんの姿があった。
「ごめんっ!
ちょっと部活の先輩に捕まっちゃってさ……」
パンッと手を合わせて、頭を下げる佐伯くん。
その姿が、なんだかとても可愛いく見えた。
「や、あの……気にしないで」
「ほんと、ごめん!
送って行くとか、言ったくせに……」
「いや、私こそ……ごめんなさい。
今日、部活あったんじゃないの……?」
今日、6時間目が終わってからずっと私に着いてくれていた佐伯くん。
バスケ部の彼なら、今日は部活があったんじゃないだろうか。