明日、あなたが目覚めたら



思わず後ろを振り返れば、不思議そうに首を傾げる友梨。



「千沙と山田がどーのこーのってみんなが言ってるの、ちらほら聞こえたんだけど」


「ああ……」



……そういえば友梨は、昨日、家の用事があるとかで6時間目が終わって一人だけすぐに家に帰ったんだったっけ。


友梨のその言葉に、私が思いあたることはひとつだけ。



「……ちょっと、ね」


「ちょっとねって……やっぱりなんかあったんだ⁉ なに?どうしたの?」


「いや、べつにそんな大したことじゃないよ」


「えー、うそー!」



本当に大したことじゃないんだって。


もういいの。
終わったことだし。

ネチネチ言い続けるつもりもない。


新しいクラスになったばっかりなのにやらかしちゃったなあ、とは少し思うけれど。


そのうちみんなも忘れるだろうし、私も昨日のことはさっさと忘れちゃえばいいんだもん。



それで普通に振る舞うんだ。


……当の本人である山田には、それができるか不安だけど。


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