明日、あなたが目覚めたら



「藤江〜、さすがに後ろ向いて話すのはあからさますぎるだろー。 ちょっとは聞いてるふりくらいしろ〜」


「……すいませーん」



いつの間に話し終わっていたのか、担任はこちらをじとーっと見ていて。


少しズレたお叱りの言葉を残してから、のそのそと教室を出て行った。



……どうしてこうもうちの担任はやる気がないんだろう。


それでも、生徒には人気があるんだから不思議だなあ。

特に女子生徒からはすごい。


あの日、田中先生に家まで送ってもらってたら、また皆あーやこーや言ってきて、面倒だったに違いない。


……送ってくれた佐伯くんに感謝だ。



「わたしだけ怒られたんだけど、友梨〜」


「そういうときもあるって、えへっ」


「裏切り者ー……」


「まあまあ。 それよりも、昨日ほんとに何があったのよー。気になるじゃん」


「もーしつこいなあ、友梨は」



大丈夫。 大したことない。


もう、あんなことであんなことで怒ったりしない。 泣いたりしない。



もっと、大人にならなきゃ。


あのくらいのことをいちいち気にするなんて、ばかみたいだもん。


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