明日、あなたが目覚めたら


その言葉に、もう一人もうんうんと頷く。



「うちの学年の男子たちより断然大人っぽいし、優しいし、イライラすることなんて全くなさそうだし……」


「ストレス溜まって人にあたることなんて、ありえないでしょ?」


「ていうか、まずストレス溜まることなんてあるの?って思うよね。
佐伯くんって、ほんとに完璧って感じ」



ああ、なるほど。
智って、そんなふうに思われてるのか。



「……完璧、ねえ」


「うん、どう?」



期待の眼差しで見つめられる。

うーんと考える素振りを見してから、私はくすりと笑った。



「確かに、そうかも」



智は、完璧だ。


「わあー、やっぱりそうなんだー!」
「やっぱり佐伯くんは違うよねえ!」

と、私の返事に盛り上がるふたり。




でもね。


そう言うとふたりは、ん?と不思議そうに私を見つめた。







「そう見えるように努力しているだけで、本当は全然完璧なんかじゃないんだよ。

少なくとも、私の前では」



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