明日、あなたが目覚めたら



ええ、っと……?


あまりの見当違いな返事に、きっと私はすごく間抜けな顔をしているだろう。

ハッとして、開いた口を慌てて閉じる。



「い、いや、そうじゃなくって……!」


「え、違うの?」


「い、いや違くもないけど、そうじゃなくて……! なんか智、今日いつもと違う気がして、それで……」



すると、次は智がきょとんとする。

だけどすぐににこりと笑って。



「えー、何もないよ? いつも通り!」



いつも、通り……。



「……ほ、ほんとに?」


「ほんとほんと」


「じゃ、じゃあ、私の思い過ごし?」


「そういうことだね」


「…………」


「千沙?」



おーい、と目の前で智の手がちらちらと動く。


なんだ、そっか。 そっかあ。



「よかったあ……」


「……うん」



へにゃりと気の抜けたように笑うと、ちゃんと笑顔が返ってきて。

そして、いつものように優しく私の頭を撫でてくれた。



だから、大丈夫。
きっと、思い過ごし。

この笑顔も、いつもと違うように見えるなんて。


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