明日、あなたが目覚めたら



だけど、次の日も、その次の日も。

私は、智に得体のしれない違和感を感じて。



「大丈夫?」
「何かあった?」

何度も、智にそんな言葉をかけた。


だけど、そのたびにへらりと笑顔でかわされて。



そのうち私は何も言わなくなった。

……気づかないふりをすることにしたんだ。




だって、今まで私を引っ張ってくれていたのは、間違いなく智で。



私が小さなことで悩んでグズグズしているときは、それに気づいて、ただ話を聞いてくれた。


智が毎日のなかで楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、頑張りたいこと。

全部、私に話してくれていた。


ケンカだって、私が悪いときは私が素直に謝れるようにしてくれたし、言い合いになったときは智が先に折れてくれていた。



私に、ちゃんと
向き合ってくれていたんだよ。




その智が……私から、逃げようとするんだもん。


もう、どうしようもできないじゃない。

知らないふりをするしか、ないじゃない。


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