明日、あなたが目覚めたら



でもそれでも、好きだった。

私と向き合うことをやめてしまった智でも、私はずっと大好きだった。


だから、「別れよう」なんてことは絶対に思わなかったし、智もそれを口にすることはなかった。



変わらないふり。
気づかないふり。

本当はきっと誤魔化してばかり。


そんな恋人同士のまま、私たちは、中学校生活に終わりを告げようとしていた。




.



「……え? なん、て?」


「佐伯くんが、本命高落ちたって……!」



その知らせを聞いたのは、卒業式の前日。


なんで、こんな日に合格発表なんてするんだろう。


私は……明日、どんな顔で智に会えばいいんだろう。

どんな言葉をかければ、いいんだろう。


安全圏、だったはずなのに。



「でも……」



高校でも、一緒にいられる。

脳裏をよぎったその言葉にハッとする。


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