明日、あなたが目覚めたら



「わかった、ごめんね?」


「ち、さ……」



どうしてかはわからない。

だけど、あれは確かに、少しずつ溜め込まれた私への拒絶だった。



「でも私、もうちょっとだけここにいたいからさ。 先に戻ってくれない?」


「……っ、わかった」



……どうしてそんな切なそうな、辛そうな顔をするの?

ねえ、もう意味わかんないよ。



遠ざかって行くその背中。


もう一度、そっと手を伸ばしてみた。

だけど触れられることはない。



名前はもう呼ばなかった。

……呼べなかった。



視界から消えてしまった瞬間に、すうっと体中の力が抜ける。



ぽつりぽつり、アスファルトが色を濃く変える。



「うあ、ああっ……」



見え透いたウソ。

ここにいたいなんて、ウソだよ。


ねえ、動けないんだ。


あなたがいつだって、私の手を引いてくれていた。

そうでしょう、智。



「ともっ、どうして……っ?」



わからないよ。
その拒絶の意味は?

あなたがいなきゃ、私はもうだめなのに。


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