明日、あなたが目覚めたら
「502号室、502号室……」
たしか一人部屋だって言っていたっけ。
そりゃ、そうだよね。
……あんなの絶対に重傷だもん。
『受け入れられる覚悟があるのなら』
看護師さんの言葉を思い出す。
正直、受け入れられる覚悟とかそういうのは何ひとつ考えていなかった。
ただ、智に会いたかった。
智が生きてくれていることを確認したかった。
ただその一心で、私は今、彼に会おうとしている。
「あ……あった、502号室」
この扉の向こうに、智がいる。
そう思うとなんだか急に緊張してきた。
『受け入れられる覚悟があるのなら』というその言葉がまた脳裏をよぎって、私を不安にさせる。
「……大丈夫」
智は生きているんだ。
また、そばにいてくれるんだ。
大丈夫、大丈夫。
呪文を唱えるように、それを心の中で何度も繰り返す。
……うん、大丈夫。
息を整えて、その扉に手を伸ばしたそのとき。
「……千沙ちゃん?」