明日、あなたが目覚めたら
「休日にちぃちゃんと会えるなんて嬉しいよ」
「……奇遇ですね、私は真波先輩とはまったく正反対のことを考えていました」
「はは、運命かな」
「ほんと頭おかしいんじゃないですか?」
これ以上ないくらいの真顔で言った私に、なぜかこの男は腹を抱えて笑う。
きっと、頭のネジか2本も3本も取れてしまっているのだと思う。
そして思う存分に笑ったあと、ヒィヒィ言いながら私に尋ねる。
「なんで無視したの、ちぃちゃん。 俺だって気づいてたでしょ?」
「私のことそんなアホみたいな呼び方するの真波先輩しかいませんからね。 全力で気づきたくなかったですけど」
「でも気づいちゃったんだ。 やっぱり運命?」
「……もうなんでもいいです」
そしてまた、それはそれは楽しそうに笑う。
……何なんだ、本当にこの男は。
言っておくけれど、この男は、私に特別な好意があるわけじゃない。
……真波先輩いわく、私は “いじりがいのあるオモチャ” らしい。
初めてそれを言われたときはぶっ飛ばしてやろうかと思ったけれど、もうどうでもいい。