これってやっぱり、あれですね?
食事が終わり、二人で私のアパートに向かうと、アパート前に見知らぬスーツ姿の男性が立っていた。
「小野原さんですね?」
「はい…そうですけど貴方は?」
「申し遅れました、私、金澤不動産第一秘書の荒木と申します。若社長からカードキーを預かって参りました。」
「…わざわざありがとうございます」
「御荷物運ぶのでしたら、僭越ながら加勢させていただきますが」
そう言いながら荒木さんは良太をチラッと見た
「……あぁ、良太…今日はありがと。また連絡するね」
「……あ、うん、解った。気を付けてな?」
良太は荒木さんに頭を下げてから踵を返し帰って行った。
「……若社長、怒ってましたか?」
「いえ、全く。あの方は不器用なくせに感情をあまり人に見せないので」
「不器用?…若社長が?…器用に何でもこなしてる印象ですけど…」