夢旅
我慢できるほどの

疲れじゃないことぐらい

ユイの顔を見れば、

誰だってわかる……。


それでもユイは

涙をこらえ、

疲れを無視して

カルの治療を続ける………



目に見えるほどの速さで、

ユイの体から

どんどん体力が失われていく。



俺が休憩するように言っても

ユイは俺の言うことを聞かず、

ただ黙々と

カルの治療を続けた。



もう何時間が経っただろう………


ここからは外が見えないから

わからないけど、

でももうものすごい長い時間ずっとこうしている。



「……っ………」



ユイがものすごく

苦しそうだった………


「ユイっ!!
もう………!!休めよ!!
そうじゃなきゃユイが死んじゃうよ………」


気のせいかもしれないけど、


その言葉を聞いて、

ユイの動きが一瞬だけ

止まった気がした………


後から思い返してみれば、

それは見間違いなんかじゃなかった………


俺はまだ知らなかった………


魔法がどういうものなのかを………



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