夢旅
「俺少し寄っていきたい所あるから、
先準備しておいて!!」


そう言ってコウは、

町とは反対方向に向って

走って行った。




コウは、

町はずれの建物の前にいた。


コウはその建物の中に入り

2階に上がると、

つきあたりの部屋の扉を開けた。


「この部屋に来るのはど
れくらいぶりかな………?」


コウは部屋の中を見渡し、

小さな声で呟いた。


「あの日からここには
来てなかったな………」



コウは小さいころに

親をなくしていた。


そんなコウを

小さい頃から育ててくれた

おじいさんがいた。



コウはそのおじいさんと

喧嘩をしたままで、

仲直りをしていなかったのだった。



正確には、

仲直りできなかった……。


喧嘩してコウが、

家を出ている時に、

おじいさんは死んでしまったのだ……。



それ以来コウは、

この部屋に来なくなった。



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