夢旅
この部屋には、

おじいさんとの思い出が

たくさんあるから。


この部屋は、

おじいさんがコウに

一番最初にくれたものだ。


扉の横の本棚の上には、

笑顔のおじいさんとコウの

写真がたてられていた。


コウはその写真を手にとって、

一粒の涙をこぼした。


「じいさん……ごめんな………
また、俺しばらく留守にする。」


ノイとユイの旅を見届けたい。


どうしても2人が、

昔の俺たちに

かぶっちまうんだ………



俺が守り切れなかった

大切な人と………


もうしばらく来ることもないだろうと

部屋中を見回すと、

机の上に一通の手紙が

置いてあった。


-

『コウへ
お前は何もかもを
自分のせいにしようとしている。
人間は完璧じゃない。
失敗すれば、
後悔もする。
だからってお前が悪いって
訳じゃない。
お前もそろそろ前を向いたらどうだ?
お前はいつも過去を見てる。
お前が生きていくのは過去じゃない。
前だけ見てればいい。』


じいさんの言葉の

一つ一つが、

心に突き刺さってきた。



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