夢旅
「……まだ大丈夫です。」


ユイが微笑んで、

そう言った。


その笑顔に俺は

少しだけ安心した。


「もう魔法は絶対に使わせない!!
もうユイが魔法を
使わなくてもいいように、
俺が守るから!!
俺弱いけど、それでも守り抜くから!!
俺を信じて?
もうユイは一人じゃないんだよ。」


「ありがとう」


ユイは涙ぐんだ瞳で、

俺に微笑みかけた。



俺とユイは、

旅の無事を祈った。



「じゃぁ行こうか?」


「うん!!」


俺はユイの手を強く握って、

引っ張った。


「走るぞ!!」


「えぇ~!!ノイ~待って!!」



俺たちは笑顔で走った。


でも………

まだ俺は知らなかった………。


ユイの魔法の作用が

どれだけユイに迫っているか。


ユイが笑ってくれたから……


何もしてやれないけど、

でも………

それでも話してほしかった。


一人で抱え込まないでほしかった。



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