夢旅
ユイはお城の中で、

ずっと一人ぼっちだったんだ……。


俺はいつも思ってた。


王女様は何にも不自由することなく暮らしてるんだろうな


そう思っていた。



こんな風に一生懸命働かなくたって良いし、


こんな苦労なんて一生味わうことなくて、


最高に幸せなんだろうな……。



そう思っていた。




俺は何にも知らなかった……。


ユイがこんな思いをしてた事なんか……


全然知らなかった………




俺が今までに、

当たり前にしてきたことも


ユイにとっては夢のような話で、


俺と出会わなければ

たぶん

一生知ることのないことだったのだろう……。




ユイが俺に聞いてきた……。



「友達ってどんな感じなんですか……?」



その質問がつらかった。



俺が当たり前に

知っていることも、

ユイは知らなくて……



その質問が俺の心に突き刺さった……。



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