ライラックをあなたに…
教授の言葉を聞いて、涙が溢れ出した。
何故、教授が切なそうな表情をしたのか。
何故、彼がこのハーブティーを私に淹れてくれたのか。
何故、彼は私に何も言わなかったのか。
半年前の彼の笑顔が脳裏に浮かんで、急に胸が切なく疼いた。
堪え切れないほど嗚咽が漏れだし、息苦しくなるほど私は号泣した。
苦しい。
痛いよ。
キュッと締め付けられる………ここが。
私はギュッと握った手で胸をトントンと叩きながら、涙を溢れさせていた。
そんな私を教授は、背中を擦りながら優しく見守っていてくれた。
そして、漸く落ち着いた私に、再び同じハーブティーを淹れてくれた教授。
今、教授の淹れてくれたハーブティーを通して、漸く彼の気持ちが伝わった気がした。
優しくてどこまでも寛容で。
そして、相手の倖せを願うような、計り知れないほどの心の温かさが。