続★キケンだらけの課外授業~私の周りは不良がいっぱい!?~
放課後



あたしは高校を出ると
そのまま急いで陣の待つ病院に向かう。



ガラッ

「陣、おまたせ!」



ようやく病室にたどりつくと、陣はすでに退院の支度を終えていた。





私服姿の陣と、コンパクトにまとめられた荷物。





「未唯ちゃんが来たなら後はお任せしようかな」



あたしより先に来て退院の支度を手伝ったらしい佐和先輩は、ベッドの横のイスから立ち上がる。




「すみません!あたしこんな日に限って日直で……来るのが遅くなっちゃって」

「はは、大丈夫だよ」



佐和先輩はにっこりほほえむと、あたしの肩をポンとして病室から出て行く。




「あの…遅くなって本当にごめんね?陣はもう行けるのかな?」

「見りゃわかんだろ」

「はは…そうだよね~」




長いこと待たされた陣はちょっぴりご機嫌ななめ。


あたしは陣の機嫌をとるようにヘラヘラしながらテキパキ動く。





意識が戻ったあと、陣はお医者さんがびっくりするほどの奇跡的な回復をみせた。


そしてワガママ大王様のごとく、早く退院させろと回診のごとに何度も言っていた。


ほんとに陣ってば…






退院の手続きは佐和先輩によってすでに済ませてあり、あたしと陣は病院の出口へ向かう。



「あ、そうだ!タクシー呼ばないと」



あたしが慌ててタクシーを呼ぼうと携帯を取り出すと、陣はそれを制止する。



「大丈夫」

「え?」

「ほら」


陣に言われて病院の外を見ると、そこにはタツ含め数名のヤンキーが並んで待っていた。




「陣さん!姉御!お疲れさまっす!ご帰宅用のタクシー用意してあります!」





ひ、ひえぇぇ………


まるで極悪マフィアのドンが
獄中からシャバに復帰するような光景。


他の患者さんたちも何事かとジロジロ見ている。

は、恥ずかしぃぃ……




顔をうつむけコソコソ歩くあたしの前で

陣は当たり前のようにタツに荷物を押し付ける。




「他もちゃんとしてあんだろうな?」

「もちろんっす!完璧っす!」




タツの返事に陣はフンと笑う。



「え?他ってまだ何かすることあったっけ?」



あたふたとタクシーに乗り込みながら
あたしは陣に聞く。


何から何まで佐和先輩やタツにしてもらって、
あたしまだ何の役にもたててない。



「何かあるならあたしにも言って?あたしも手伝いたい!」




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