心さん、そろそろ俺にしませんか?
「そうだったか。だけど、何か理由があったとしても部活の遅れは遅れだ。外周20周してこい」
「は、はい」
「原田、お前もだ。わかったか?」
「はい」
そしてジャージに着替えて、武道館を出た俺たちだった。
「……イチ」
「ん?」
「あのさ……」
「何だよ」
「さっき、ありがとうな」
地面を蹴って前に進みながら、イチにお礼を言った。
「あぁ、お前の恋患いを言わなかったことか」
「……いちいち言うな」
「おかげで外周だけどな」
「まぁ、予想はしてたけど」
「恋患いって言ってたら、きっと今の倍の倍くらい走らされてたな。危うく、今日部活出来ねーところだったな」
イチの言葉に頷いた。