心さん、そろそろ俺にしませんか?
頭の次は顔を殴られるのかよ。好きな人に殴られるって相当だなって……え?
「昨日はよくやったな、お疲れ」
俺は、心さんから頭を撫でられていた。精一杯背伸びして、俺に手を伸ばす心さんの姿を前にして、硬直しないわけがない。
「ほらっ、早く行くんだぞ!」
そう言い残して、サッカー部が試合をしている広場へ向かう心さん。
どうして、いつもそんなにずるいんっすか?
どうして、俺の気持ちに気づいてくれないんすか?
「……マジ勘弁。しんぞーやべぇし」
昨日負けたことなんてすぐにぶっ飛んだ。イチがトイレに駆け込んだことも忘れていた。
ドキドキを隠しながら急いで部員の元へ駆けていった。案の定ビリ。先輩達から冷たい視線を浴びたのだった。
それでも今は耐えられた。なんてたって、なでなでしてもらえたんだからさ。
……まぁ、西川先輩の応援に来たってのはすげぇ嫌だったけど。