心さん、そろそろ俺にしませんか?



「でも、西川先輩と楽しそうにしているのを見ると、胸がズッキュンと痛んで切なくなる~だろ?」


「……キモいこと言うな、イチ」


結構強めの力でイチの頭に拳を食らわす。うるせーし、俺の心ん中読んでんなっての。


──────☆


「原田く~んっ」


数日後、昼休みにクラスの奴に呼ばれた。えっと、たしか……あぁ、澤本だ。


「はい、これ!」


「何だこれ」


「体育祭の写真。現像したからあげる!」


手渡された体育祭の時の写真。男女の姿が写る写真を見て、そういえばこんな写真も撮ったなと思い出した。


「澤本~俺には?」


「ちゃんとあるって、ほら!」


イチの奴ももらえた様子だ。


「あ、現像料いくらだ?払うよ」


「いいよ!家でプリントしてきただけだし」


「それじゃ悪いし……」


「いいからもらってっ。ね?」


そう言われると何も言えない。お礼を言って写真をカバンへしまった。



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