心さん、そろそろ俺にしませんか?



途中、交代の声がかかってイチと抜けようとしたが、


「原田、洗い物頼む!」


と押しつけられた。断ることも出来たのだが、慌ただしく駆け回る他の奴等を見ると、何とも言えず引き受けてしまった。


「じゃ、俺は休憩してきま~す」


イチの奴は薄情者だ。俺にヒラヒラと手を振りながら教室を後にした。


クソッ、心さんのクラスに行きたかったのに。なんでも、心さんはおばけ役をするらしいのだ。(本人情報)


「原田くん、休憩じゃなかったの?」


すると、交代で休憩から戻ってきたらしい澤本に声をかけられた。


「あー、まぁまだいいかなって」


「休んでいいのに」


そりゃ休みてぇけど……


「まだ明日もあるし。ほら、澤本も接客行けよな」


文化祭の準備にほとんど関わらなかった部活動生。部活に支障が出ないように、と帰宅部の奴等が言ってくれたのだ。


だから、今しか恩返しっていうかそういうの出来ねぇし。俺は運ばれてきた皿に手を伸ばした。



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