心さん、そろそろ俺にしませんか?
「あーまだか?」
時計と睨めっこしながら、まだ皿を洗っている俺。イチが帰ってきてから休憩のはずなんだが……イチの姿がまだ見えない。
「……あんのやろ」
今どこにいんだよ。ケータイはポケットに入っているけど、手が濡れているため取り出せない。
「森原壱成、只今戻りました~!」
すると、教室に陽気な声が響いた。俺はすぐさま声の主の姿を探る。
「……イチ、お前遅ぇぞ」
「優生、エプロン姿似合ってるぞ♪」
「ふざけんな、早く戻れ。俺は早く休憩に……」
「休憩に行っていいのかな~?」
ニヤッと笑うイチが気味悪い。
「んだよ、何かあんのか?」
「あるよ~。ほら、あそこ」
イチが顔を向けるその先に、ため息をついて目をやった。
「…………え」
「どうだ、休憩に行く気無くなっただろ?」
なんと、俺達のクラスに心さんがいたのだ。