心さん、そろそろ俺にしませんか?
どうしてこんな時にまで。思わず大きなため息が出てしまう。
そして、大人数の先輩達がドリンクを注文をしていく。俺はその姿をコッソリ見ている。
「原田くん、何してるの?」
すると、澤本に呼ばれた。
「あ、その、休憩ってどこから行けばいいかと」
「入り口からでいいよ、ほら」
「あ、あぁ、サンキュ」
どこから出るなんてわかっていたけど。でも、出るにしても絶対にバレる。この身長なら、確実に。
「お!原田じゃん」
やっぱり。そして、見つかったのが心さんじゃなくて、西川先輩ってどうよ。
「あ、ども」
小さくなりながら、先輩達エリアへ近づく。よく見ると、佐原先輩もいた。
「お疲れさまです」
「ん」
変わらず冷たい。というか、挨拶を一文字で終わらせるってどうなんすか。
「おぉ、サハの後輩だったのか!剣道部だしそうだよな~」
サハ、とは佐原先輩のことらしい。西川先輩の言葉にまぁな、とだけ答えてそっぽを向いた佐原先輩。
やっぱり苦手だ。