心さん、そろそろ俺にしませんか?
「やっぱり怖いよな、キャプテン」
「あぁ。でもその怖さに憧れるよ」
「優生、心さんのことで頭イカレたか?」
「イチ、殴るぞ?」
「やめろ~って……あっ」
「何」
「心さんだ」
「どうせまた嘘だろ?もういいよ」
「嘘じゃねーって。ほら!」
イチに無理矢理顔を前に向かされた。すると、少し遠くにジャージ姿で走っている心さんの姿があった。
でも、なんで心さんは走ってるんだろう?心さんの部活はチアリーダーのはずなのに。
「こっちに走って来るじゃん。よかったな、優生」
いつもなら照れ臭くて反論する。でも、今は違う。何も言葉が出てこなかった。
心さんが視野に映るだけで、言葉が出てこなかった。