心さん、そろそろ俺にしませんか?



でもそう思ったのも束の間だった。


「あっ、優生のエプロン姿!」


イチの言う通り、新着コーナーとやらに俺の昨日の写真があった。無表情に可愛らしいエプロン。


「……イチ、写真部って誰」


「知らない。でもこれはナイスショット~♪」


なんで貼られてんだよ。いつ撮ったんだ。それに、俺はいいって言ってねぇし。


「委員長が了承してたよ~。さて、次行こう!」


委員長を恨めしく思いながら、その場を後にした。


「…………あ、そうだ」


たこ焼きを買った後、ふとあることを思い出した。


「イチ、昨日、心さんのところ行っただろ?」


「ん~?そうだけど?」


「遠回しに、心さん連れてきただろ?」


「もしかして聞いた?俺カッコいいことしただろ~?」


はい、ノーコメントで。


「クラスのためだし。まぁ、別に特別お前のためにしたんじゃねぇし~」


「……ありがとう」


本意はどちらでもいい。どちらにせよ、イチのおかげで心さんと会えたんだから。



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