心さん、そろそろ俺にしませんか?
好きと伝えられたら、どれだけこんな辛い想いをしなくて済むんだろう。
でも、逆に、好きと伝えたら、どれだけ辛い想いをしてしまうんだろう。
それは俺だけじゃない。きっと、心さんにも迷惑をかけてしまうんだろう。
好き、その言葉が言えない。
言いたくても、言ったとしても、心さんの気持ちが分かっているから……余計に言えない。
知らなければよかった、こんな想い。
どこにいても、心さんの声が一番に耳に届く自分が嫌になる。心さん笑顔に胸が苦しくなる自分が嫌になる。
それでも、心さんのことを追ってしまっている自分がいる。
それは、好きということ。もう引き返せない想いだってこと。
「優生」
「ん」
「自分の中で葛藤中の時に悪いんだけどさ」
周りの生徒はまだ文化祭に浸っている。何、その言葉。俺、顔に出てた?あぁ、きっと怖い形相してたのかも。
イチから真剣な眼差しを向けられる。なんだ?重要なことか?
「今日、片づけの後やっぱり部活あるって」
一気に肩を落とした瞬間だった。