心さん、そろそろ俺にしませんか?
「あの人チア部の……」
「めっちゃ男らしい人じゃね?」
ざわざわとする部員。みんなの中にも、心さんは定着しているらしい。嬉しいような……複雑なような気持ち。
「おぉ、サワは?」
「サワ!ブチが呼んでるっ」
サワ、と呼ばれたその人はキャプテンのところへ小走りで駆け寄る。すると、みるみるうちにキャプテンの顔が緩んでいく。
「なぁ、イチ」
「おう。キャプテン、俺達に気を緩めるなって言えねぇじゃん」
キャプテンがサワさんを好きなことは一目瞭然。それは剣道部全員が思ったことだった。
「監督にも話は通してるから、練習していけよ」
「ありがとう!助かる~」
あ、またデレてる。サワさんがずっと剣道部にいたら、キャプテン崩壊するだろうな。
「よ、よし!みんな!練習だ!!」
「お前に言われたくねぇよ」
モチベーションを持ち直したキャプテンにだったが、佐原先輩に言葉で斬られたのだった。