心さん、そろそろ俺にしませんか?
「今掃除中か?」
「あっ、終わりました」
「そうか!お疲れさま!」
「心さんもお疲れさまです」
よかった、イチがいなくて。俺の今の顔、絶対ニヤけてるから。
「もー今日は疲れたよ!」
「めっちゃ声出てましたよね」
「やっぱりわかるか?いやぁ、おかげで周りの声が聞こえないんだよな。周りが見えてないっていうのかなー」
ポリポリ頭をかく心さん。
「そ、んなことないっす。そんな心さんカッコいいと思います」
「そうか?後輩からカッコいいだなんて照れるなー」
後……輩。心さんの中で……俺は、後輩なんだ。
「なぁ、あたしの声届いてたか?」
「あっ、はい」
「じゃあ、アイツにも届いてたかな!」
──────アイツ。
「…………西川先輩ですか?」
「え!?なんでわかったんだ!」
「えっと、それは……」
「あー武道館まで聞こえてたのか!昼からサッカー部の応援してたからなー」
そう、だったんすか。
西川先輩の応援……を。