心さん、そろそろ俺にしませんか?



「今掃除中か?」


「あっ、終わりました」


「そうか!お疲れさま!」


「心さんもお疲れさまです」


よかった、イチがいなくて。俺の今の顔、絶対ニヤけてるから。


「もー今日は疲れたよ!」


「めっちゃ声出てましたよね」


「やっぱりわかるか?いやぁ、おかげで周りの声が聞こえないんだよな。周りが見えてないっていうのかなー」


ポリポリ頭をかく心さん。


「そ、んなことないっす。そんな心さんカッコいいと思います」


「そうか?後輩からカッコいいだなんて照れるなー」


後……輩。心さんの中で……俺は、後輩なんだ。


「なぁ、あたしの声届いてたか?」


「あっ、はい」


「じゃあ、アイツにも届いてたかな!」


──────アイツ。


「…………西川先輩ですか?」


「え!?なんでわかったんだ!」


「えっと、それは……」


「あー武道館まで聞こえてたのか!昼からサッカー部の応援してたからなー」


そう、だったんすか。


西川先輩の応援……を。



< 143 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop