心さん、そろそろ俺にしませんか?



「剣道部、悪い!失礼する!」


放課後、2ー1の教室で剣道部全員で勉強をしていた時、慌てた様子で心さんが入ってきた。


「吉野ー勉強道具を持って行き忘れたか!」


「ちげーよ。これ、忘れてたんだよ!」


キャプテンと言い合いながら、心さんが手にしていたのはピンクで彩られた雑誌。


「何の勉強すんだよ」


「もうすぐ女子にとって、大切なバレンタインのイベントがくるんだ!その勉強!」


「お前女子か?ていうか、真面目に勉強しろよ!赤点出たら、キャプテンが怒られ……」


「んなカリカリすんなよー。そんなんだとサワからチョコもらえねーぞ?じゃあな!」


「あっ、おい!お前っ」


赤面した状態で心さんを追いかけたキャプテン。途端にざわつきだす教室内。


「キャプテンってチア部の部長のこと好きなの?」


「あの可愛らしい人だよな?」


「ていうかもうすぐバレンタインじゃん!」


「やっべ、男磨きしね~と!」


そんな声が飛び交ったものの、


「黙れ。集中しろ」


佐原先輩の声で一瞬にして静まりかえった。よかった、話してなくて。


< 151 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop