心さん、そろそろ俺にしませんか?
「おら、ブチ食えってー」
「悪い!サワにもらえたからいらない!」
「え!キャプテンもらえたんすか!?」
途端に、話題はサワさんのことで大盛りあがり。昼休みに呼ばれてもらえたんだとか。
「へっへっへ!俺みたいになればチョコなんて……」
「でもサワが、お前のは義理って言ってたようなー」
「は!?吉野!それ嘘だろ!?」
「はい、あたしの力作を食ったら教えるぞ!」
そう言って、キャプテンにチョコを投げた心さん。チョコを見つめて意を決したキャプテンは、食べた。
「うっ……」
「義理でわざわざ呼び出して、チョコ渡すかっつーの!へへへ!」
やばい、何かの罰ゲームに見える。キャプテン
は純粋に食べただけなのに、よくよく考えてみれば分かることだった。
「おい、優生、早く帰ろうぜっ。いくら心さんでも、キャプテンの二の舞になりたくない」
「そ、そうだな」
本当はこの場でチョコを食べて、美味しかったですって言いたいけど、きっと言えなさそうだし。
俺はイチとそそくさと出て行く先輩達に続いて武道館を出た。