心さん、そろそろ俺にしませんか?
その日の夜、俺は部屋で1時間心さんのチョコと睨めっこをしてから、おそるおそる口の中へと運んだ。
「…………」
まず、しょっぱい。それから辛くなって……なんだこの味、初めてだ。やばい、吐きそう。俺は一目散にトイレへ向かった。
「みんなの気持ちが……分かるかもしれない」
ぜぇぜぇ言いながらトイレを出た。すると、目の前に親父の姿が。
「どうした?顔色悪いぞ」
「なんでもあるけど、なんでもない」
「……?大丈夫かよ」
親父へ返事もせずに部屋へ戻ろうとした。すると、背後から親父の声がした。
「リビングに母さんからのチョコがあるぞ。もちろん、俺の方が大きめだけどな!」
あー今はどうでもいい。分かった、と左手をあげて部屋へ戻った俺だった。その日はそのままぐっすりと寝ていて、気がついたら朝だった。
「優生、俺はもう二度とあのチョコは食いたくない」
次の日、イチが死にそうな面をして教室に入ってきた。相当ダメージを受けたのだろう。
「想像を上回るほどの味だった」
「やばいよ~あれは!西川先輩も食ったんだよな~?」
そういえばそうだ。