心さん、そろそろ俺にしませんか?
「一度振られたって好きだった!お前が友達として接してんのも知ってて好きだった!優しすぎて……好きになるばかりなんだよ」
「吉野……」
「西川は……どう思ってんだ?」
小さくなっていく心さんの声。それでも、西川先輩の目をしっかり見つめていた。
「俺は……吉野の気持ちには応えられない。恋愛対象として、見られない」
西川先輩から言葉が発せられても、心さんは目をそらさない。
「お前のことは好きなんだ。でも、それは友達としてで、今も昔も変わらない」
「好きな人いるのか?」
「……ごめん、いる」
西川先輩も、片想いをしていた。
「そっか……知らなかった」
右手で頭を抱える心さん。
「吉野……」
「ごめん、先に帰ってて。ちょっと頭冷やしてーから」
「……わかった」
じゃあな、と残してチャリで帰っていった西川先輩。心さんはチャリを掴んだまま立っている。
「…………っ」
俺はチャリを投げて、心さんの元へ走り出した。無理だ。これ以上見ているだけなんて、もう無理だ。
「心さん!」