心さん、そろそろ俺にしませんか?
「いーやーだーっ!ココは通りたくないっ!」
すると、廊下から駄々をこねるような声が聞こえてきた。この声は、間違いなく心さんの声だ。何かあるのか?不思議に思いながら、席を立って廊下を見た。
「もう、何よ!いつもココ通ってるじゃない」
「き、今日は遠回りしようぜ!な?頼む!友達だろ?」
「嫌。ほら、こっちの方が教室近いんだから行くよ~?」
先輩に引っ張られながらも動かない心さん。なぜか、かたくなに俺の教室の前を通ろうとしない心さん。
「離せよっ!あたしはあっち……」
その時だった。顔を上げた心さんと目が合った。途端に、おろおろしはじめた心さん。その顔ウケるんすけど。
「も、もう先に行くからなぁっ!」
そして、勢いよく俺の教室の前を走り去った。すっげぇ早い。ボ○トも追い抜きそう。
「ねぇ、心ってば変じゃない?」
「おばけでもいたんじゃないの?」
そう言いながら、一緒にいた先輩達も歩いていった。
「優生、お前心さんに何かしたな?」
隣にひょこっと顔を出したイチが聞く。
「だから告白」
「他には?」
「……ハグ?」