心さん、そろそろ俺にしませんか?
「優生~また心さんパンチ入れてるよ」
1日の授業が終わり、部活へ向かっていた時に、一緒にいた森原壱成(モリハライチナリ)、通称イチが言った。
「あ~あ。本当に女かよってな」
ケラケラ笑うイチを横目にして心さんを見た。いつもながら、西川先輩とじゃれている……いや、西川先輩に喝を入れていた。
「西川先輩もよく耐えられるよなぁ。な、優生」
「あっ、おう」
イチの言葉よりも心さん達の方が気になって、曖昧に返事をした。
何度も思う。あの笑顔……何度男らしいパンチを食らわしてもあれは卑怯だよな。
目が離せなくなるんだ。