心さん、そろそろ俺にしませんか?
そうだ、と頷く監督とキャプテン。
「あの佐原がそこまで言うとはな。お前、相当見込まれてるぞ?」
「でも、毛嫌いされてますし、嫌いだとも言われましたけど」
「それがアイツなりの表現だ。嫌い嫌いも好きのうちってな」
そうなのだろうか?監督の言葉を聞きながら、疑問が浮かんだ。
「2、3日考えて見ろ?そして返事をくれ」
もういいぞ、と監督室からキャプテンと出された。
「ビビったか?」
「当たり前っす。キャプテンとか全然考えてなかったことで」
「俺も、サハに言われてから、お前になら剣道部を任せられるかもって思えた。いい返事を待ってるから」
「は、はぁ」
そう言って、練習に戻った俺達だった。練習中もそのことが気がかりで集中出来なかった。
俺が、キャプテン。
嬉しいけど、複雑。だって、みんなをまとめられる自信がない。ていうか、人前に出るのも好きじゃない。マイナス面しか浮かび上がらないし……断ろうかな。
「優生?部活終わったぞ」
「え?あ、うん」
イチに声をかけられ、我に返った。気がついたら部員は部活後の掃除をしていた。