心さん、そろそろ俺にしませんか?
簡単に決めたんじゃないから、という目をしていて、自分の胸が高鳴るのがわかった。
「原田もさ、みんなをまとめられるか不安、自信がない、そう思うなら少し考え方を変えてみろよ!」
「考え方……」
「こんないい友達もいるんだしな?頼んねーと勿体ねーぞ!」
イチの背中を叩いて心さんが言った。イチは頭をポリポリとかいている。……おい、今の褒め言葉に照れてんのかよ。
「それじゃ、あたし達こっちだから。答え見つけたら教えろよ?じゃあまたな!」
そう言って、西川先輩と別路へ歩き出した心さん。ありがとうございました!とその背中へ投げかけると、ガッツポーズと共に素敵な笑顔が返ってきた。
「……イチ、ありがとうな」
「愛しの人との下校時間はいかがで?」
「付属とお前がいなければ最高だった」
「ヒドい!!」
「嘘だよ。心さんと2人だったら、余計このこと話せてないから、助かった」
押していたチャリに飛び乗って、イチを置いてスピードを上げた俺。
「おいっ、ちょ、待てよ!」
それは俺の照れ隠し。
いくらイチでも、改めてお礼を言うと恥ずかしい。