心さん、そろそろ俺にしませんか?



摺り足、打ち合い、いつものメニューをこなす。だけど、俺の頭の中にはイチと話すことしかなく、おかげで、監督からいつも以上に指導されてボロボロだったけど。


「あ~やっとこの時間か!」


夕方。部活を終えて武道館の掃除をした後、俺達はでグラウンドの芝生へ寝転がった。後輩達も2、3年生と同じように仰向けになる。


「これって何なんすか?」


「心を癒す時間だ!何もかも忘れて無になって……」


呪文のようにキャプテンが後輩達に説明するが、すでに後輩達の耳はシャットアウト状態。


俺も1年の頃は何でこんなことって思った。だけど、実際に体験してみて、こういう休養も必要かもって思えた。


「……隣、邪魔する」


すると、イチが隣に来た。お、おう、とぎこちない返事をした俺。


周りから少しばかり話し声が聞こえるものの、俺とイチの間には沈黙が流れる。何も言わずに空を見上げる。


イチと仲直り?って言っても、なかなか難しい。何を謝ればいい?何を……どう言えばいい?


でも、心さんと約束したんだ。イチと少しずつでも仲直りするって。


「……あのさ」


俺は意を決した。



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