心さん、そろそろ俺にしませんか?
「ったく、お前ら感謝しろよ~?」
「はい。ありがとうござい……」
「バッカ、俺じゃねぇよ!」
キャプテンが俺とイチの頭にゲンコツを食らわす。じゃあ……と思って佐原先輩を見たが、違うと首を振る。
「吉野だ」
心さん?
「アイツがお前らを仲直りさせられるように、夜空鑑賞を早めたらどうだ?って勧めてきたんだ」
「それの考えに俺もサハも大賛成!ってことで、急遽早めにすることになったんだよ!」
大賛成はキャプテンだけだろうな。と心でツッコミを入れつつも、心さんが関与していたことに驚きを隠せなかった。
「よかったな~優生ぃ~」
「そ、そんなんじゃねーしっ」
「そうだな。原田には悪いが、吉野はこういう揉め事は放っておけない正義感がある奴だから、恋愛面とかそういうのじゃ……」
「……キャプテン、そのフォローはいらなかったっす」
「あっ!悪いっ!」
あたふたした様子で謝るキャプテン。少しばかり傷ついたのは……本当だったり。
それでも気にかけてくれたことが嬉しくて、緩む口角を抑えながら、夜空を見上げた。