心さん、そろそろ俺にしませんか?
「腕の振りが足りんぞ!原田!」
「原田、声出てないぞ!」
そして、もちろん俺も練習に参加するわけであるから、監督にしごかれるのは当然のことだ。だけど、回数が多い気がするのは気のせいだろうか?
「監督も裏で相当キレてたからな。お前と森原のこと。根に持ってんじゃね~の?」
一時休憩の指示が出て、綿タオルで額を拭っていると、キャプテンが傍に来た。
「大人げないっすよ。大したことじゃないのに」
「その大したことないことが、試合の結果に繋がるんだぞ。お前、個人戦は運良く勝ち上がれたけど、団体戦はダメだっただろ?森原はその逆。あの時ギクシャクしてんのが、目に見える結果として出たんだぞ」
そうなのだ。前回の試合を勝ち上がったものの、その試合結果は良くはなかったのだ。
「だから、踏ん張るんだな。ほら、立て!」
キャプテンは、いつもバカみたいに大声を出しているだけだと思っていた。でも、気づいたら誰かに寄り添っている、そんな存在だった。
俺はそんなキャプテンになれるだろうか。ふと生まれてしまった疑問を抱きながら、再び監督の指導を受けたのだった。