心さん、そろそろ俺にしませんか?



「つ、疲れた」


練習を終えて、入浴タイムに至る今。体を洗い、お湯に浸かってふうっとため息をついた。


「見てよ、優生!ココ気持ちいいぞ~!」


イチと数人の部員が電気の泡に夢中になっている。それに目を向けるなんて、お前らは子どもかよ。


それにしても、筋肉痛がきているのか、全身が痛い。普段も体を動かしているはずなのに……まだまだ練習が足りねーの……


パシャッ


すると、顔にお湯がかけられた。かけた本人はイチだ。


「てめ……」


「お湯かけも修学旅行みたいで楽しいな♪」


ケラケラ笑うイチの口へ、仕返しをするかのように俺はお湯をかけた。


「うえっ。優生のやろ~」


「ぶわっ、お前やめろっ」


「お前ら何して……うわっ、かけんな!」


そしてそれはどんどん拡散していき、剣道部全員(正確には1年以外の部員)で、お湯かけが始まっていた。


「全員正座!」


もちろん、監督から雷が落ちたのは言うまでもない。珍しく、佐原先輩までもがお湯かけメンバーに入っていたのだ。


合宿所の食堂で、俺達が正座をしている前で申し訳なさそうに飯を食う1年だった。



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