心さん、そろそろ俺にしませんか?
「俺の役目がお前に渡る。嬉しいけど寂しいもんだな」
「……ちゃんと引き継げるか不安っすけどね」
「バーカ!ちゃんととか、んな真面目なこと言ってんなよ。お前真面目じゃないだろ」
何気にさらっとヒドいこと言いましたね?
「キャプテンの自覚と責任を忘れなければいい。後はお前や部員で剣道部の雰囲気を作ればいい。俺の真似をするな。それだけだ!」
「難しくて分からないっす」
「いつか分かる。今は分からなくてもいいんだよ」
すると、キャプテンが窓の外を見てニッと笑った。何かいたか?俺もその視線の先を辿っていくと。……え?
「アイツら、本当自由だよな!」
窓に映っていたのは、楽しそうにハシャいでいるチームメイトだった。窓の向こうは広場だったのか……じゃなくて。
「あの、もう外に出ちゃいけないんじゃ?」
「規則は破りたくなるだろ?毎年あそこで遊ぶんだ。去年はあいにくの雨だったけど、今年は晴れてよかったよ!」
そういう問題っすか?
「それに、俺達普通の高校生じゃん。先輩後輩、キャプテンや部員とか、取り巻くものを全部取ったらみんな同じだろ?」