心さん、そろそろ俺にしませんか?
「マジっすか!どんな人なんすか!」
「一言で言うと……美人だ!」
「「おぉ!」」
「そして、可憐で白百合の……そう、まるで高嶺の花……」
バシッ
「余計なこと言ってんな。それに、美人しか合ってないから。早く練習始めるぞ」
戻ってきた佐原先輩が、キャプテンの頭を叩いた。美人ってことは認めるんですね。
「うわ~見てみたいなぁ、優生」
「俺に話振るなよ」
「だって、佐原先輩の彼女だぞ?」
「口じゃなくて手を動かせ」
イチに強制的に竹刀を持たせて、練習モードに入った。
彼女が大会を見に来てくれるって、やっぱり緊張するだろうな。俺も、心さんが来てくれたらな……って彼女じゃねぇな。
いかんいかん!頭の中を試合モードにしねーと。集中力無さ過ぎだろ、俺。
「原田、淵田」
タイミング良く監督に呼ばれ、慌てて背筋を伸ばした。用件は、今日の流れの確認だ。
「よし!ウォーミングアップは終了!団体戦組と個人戦組に分かれて移動だ」
そして俺達は、再び体育館の中へ入った。