心さん、そろそろ俺にしませんか?
誰のせいでもなかった。
努力の差。実力の差。本番で力の発揮が出来なかった、そうなんだ。
「優生、頑張ってくれよ?」
イチ達の試合が終わり、空き時間。ウォーミングアップをするために外に出た俺に、背後から話しかけたイチ。
「……何を今さら」
「俺達負けちゃったじゃん。だから、余計に優生に勝ってほしくてさ」
そう言ってカラ笑いをしたイチ。寂しそうな笑顔が太陽の光に照らされる。
「勝つよ、俺」
「そうでなきゃ困る!」
チョップ!と両手で俺の頭を狙ったイチ。
「ってぇ!何すんだよ」
「喝入れてんだ!か~つ!」
勝ちたいと思った。
イチの笑顔を見ると泣きたくなって、もどかしくなって、勝たなきゃって思った。
この先の景色を見たい、見せたいって思った。
「応援しろよ?」
「ったりめ~だ!ハートで繋がってんだぞ?」
「あーそうだな」
「おい、バカにすんなよ~?」