心さん、そろそろ俺にしませんか?
ヒリヒリと痛む右足。だけど、そんなことを気にしている場合じゃない。俺は今、目の前にある試合を勝ち抜かなきゃいけないんだ。
「っ!」
また痛んだ右足。疲労感と共に、少しずつ痛みが増しているのが分かる。俺と鏡合わせのように戦う五十嵐にも、少しずつ疲労感が見られていた。
引き分けじゃ終わらせない試合。必ず決着をつける試合。だけど、流石全国で右手に入る五十嵐だ。簡単に1本は取れない。
それでも五十嵐を攻めたり、五十嵐からの攻撃を交わしたり、俺なりに必死にもがいていた。
「タイム!」
審判が試合を止めた。競り合っていた俺と五十嵐は、お互いに小さく舌打ちをした。
「原田くん、君、右足を負傷しているだろう?」
少し捻っただけだった俺の右足。だけど、うっすらと青あざができていて、怪我をしているのが丸分かりの状態になっていた。
「……っ、大丈夫です」
「だがな……」
「まだ戦えます。続けさせてください」
「でも、悪化したら……」
「早く決着つければええ話やろ、審判さん」
すると、審判と俺との会話に五十嵐が入ってきた。